旭川旭岳温泉線(上忠別橋)。橋台背面の盛土が濁流に浸食され道路が決壊した

近年、全国で豪雨災害が多発しているが、ここ北海道でも集中豪雨(局地的豪雨)が増えている。
とくに平成22年8月下旬の集中豪雨では、石狩川上流の忠別川と美瑛川が増水し、忠別川上流で道路が決壊、東川町天人峡温泉などの観光客等330人余りが一時孤立したため、全国的に大きく報道された。
しかし、下流の被害は最小限にとどまったことはあまり知られていない。
※資料:北海道建設部土木局道路課

 
 

天人峡美瑛線。道路擁壁が濁流に流され道路が決壊した
 
   
 
 
 


石狩川は北海道最大規模の上川盆地に入ると、北海道第2の都市・旭川市の中心市街地で、支川の忠別川、美瑛川、牛朱別川を合わせる。石狩川上流域は扇形を成しているため、大雨が降ると、その要の部分である旭川市中心部へ洪水は一気に集中する。
この4大河川の堤防がひとたび決壊すると市街地は浸水し、旭川市の都市機能そのものをマヒさせかねない。しかも忠別川と美瑛川は急流で、洪水時はさらに高速に流れるため、堤防の安全性が損なわれる可能性もある。

 

天人峡温泉での忠別川氾濫状況(昭和50年台風6号被害状況写真帳より)
 

 

昭和50年8月洪水での浸水被害(石狩川上流河川整備計画より)
 
 
 
   
  忠別ダムは、昭和56年洪水を受けて計画され、石狩川との合流点から約31km上流の忠別川に平成19年に竣功した多目的ダムだ。
ダム上流で昨年から何度か大雨が降ったため、洪水調節が行われた。大きなところでは、平成22年8月23日から24日にかけての集中豪雨で、忠別ダムへの流入量は約870万、札幌ドーム約5.5個分。今年の平成23年9月2日から4日にかけての豪雨では、約877万、札幌ドーム約6個分の洪水を貯め込んだ。
とくに平成22年の集中豪雨は、忠別ダムがなければダム下流の忠別川全川にわたって水位が約1.3m〜2.4mも高くなり、床下浸水3戸にとどまった下流域の内水氾濫等の被害は拡大する恐れがあった。
また孤立していた宿泊客は、自衛隊等のヘリコプターで救助された。この際、下流の忠別ダムヘリポートが提供され、搬送時間が大幅に短縮された。さらに通行止めになった道路が復旧されるまで、ダムの管理用道路が迂回路として使われた。
洪水調節とともに、忠別ダムの諸施設が有効に機能した。
集中豪雨は年々増加するとともに規模は拡大している。2年連続の石狩川上流域の出水は、改めて治水施設の役割と重要性を再認識させた。
 
 
  洪水調節中の忠別ダム(旭川開発建設部蔵)
 
     
             
           
             
         
             
             
             
  ※資料:旭川開発建設部の公式ホームページに公開された資料より  
     
  忠別ダムについてのくわしい情報は 
旭川開発建設部へ(河川・砂防 → 忠別ダム管理支所)
http://www.as.hkd.mlit.go.jp/chisui04/top_frame.html
操作室や監査廊を見学できます!
団体見学の申込は、忠別ダム管理支所まで電話かFAXで
北海道上川郡東川町ノカナン
tel 0166-82-5391 fax 0166-82-3853
 

大雪山連峰に抱かれた忠別ダム。右岸側は土と石でつくられた複合ダムだ(旭川開発建設部蔵)
 
         
  河川トピックス ページトップに戻る ページ6/6   
  Copyright(C) (財)石狩川振興財団.
All Rights Reserved.
     
         
inserted by FC2 system